こんにちは。
八尾で声優養成塾を開講しております、香月真緒(こうづき・まお)と申します。
このコラムでは、私自身の声優としての歩みを振り返りながら、声優を目指す方やそのご家族に向けて、少しでもお役に立つお話をお届けできたらと思います。
さて、事務所所属の最終オーディションに合格した私は声優として上京することになります。18歳の春でした。
初めての一人暮らしは、家賃18,000円、倉庫の2階にある仮眠室のような部屋でした。
風呂もガスもなく、玄関もドアではなくシャッター。現代では想像しにくい環境かもしれません。電話も引けなかったので、事務所からの連絡は大家さんが受け、メモをシャッターに貼ってもらうという、そんな環境でした。
上京して一週間、初めてのお仕事をいただきました。
「世界不思議発見!」の再現V。ご一緒したのは同期の面々。緑川光さん、神奈延年さん、小野坂昌也さん、國府田マリ子さんといった、今では大御所と呼ばれる方々ですが、当時はまだ何者でもありませんでした。
現場はTBSの緑山スタジオ。「風雲たけし城」のセットが残っていたことを覚えています。声優事務所所属ではありましたが、顔出しのお仕事もたくさんありました。
追記すると、その後同番組には「そんなに?」というほど出演することになります……。
上京で思い出しましたが、私は大学を3日で退学しております。理由は事務所所属が決まったからですが、当然、退学も上京も父からは大反対されました。しかしながら、行くも行かないも自分自身の問題だと心は決まっていたので、何を言われようと微塵(みじん)も迷いませんでした。
母は好きに生きられなかった後悔を心に持った女性だったので、夢を追うという私の想いには寛容でした。私は半ば家出同然で大阪を後にすることになります。
当時、東京、大阪間の電話料金は5秒で10円だったかな? それこそ昭和のTVドラマのように10円玉を握りしめて電話ボックスにこもったのも懐かしい思い出です。
さて声優業ですが、順風満帆とは行かないまでもお仕事は継続していただいていました。
初めての声優としてのお仕事は古谷徹さんが主演で、ありがたいことに、古谷さんと直接お芝居させていただきました。
草尾毅さん主演の作品にもお邪魔させていただきました。こちらも幸運なことに草尾さんと絡ませていただきました。
隣のマイクには草尾さん、目の前の椅子には森功至さんと小山茉美さんが私の芝居を凝視している状況って、本当に夢の中にいるようでした。
また、実家から持ち込んだオーディオ機器を使い、同期の声優たちと私の部屋でサンプルボイスを収録したこともありました。今も活躍されている山崎和佳奈さんとも、そんな時間を共有したのを覚えています。
声優の世界は、華やかに見えても、そんなものは表層に現れる僅かばかりのきらめきに過ぎません。私は倉庫の一室からスタートしました。それでも「やりたい」という想いが強ければ、おのずと道はつながっていきます。
現在私は八尾で声優養成塾を開講していますが、実は声優と言う職業をお勧めしてはいません。たとえは悪いけれど、成功するのは宝くじに当たるくらいの確立かと思います。
挙句に、現在も将来も、何の保証もありません。来月の見通しすら立たないのが本当のところです。
それでも、その話を聞いたうえでも、自分の想いを、夢を追うのだという方には、及ばずながら並走させていただいています。
かつての自分がそうでしたから、その想いは理解できるつもりでいます。
夢を叶える第一歩は、勇気をもって踏み出すことから始まります。
私もそうだったからこそ、未来の声優を目指す皆さんを全力で応援しています。
自分一人で悩まないでくださいね。みんな、負けるな。
StudioONEでは無料で体験レッスンを行っています。
進路に関する相談だけでも大丈夫なので、興味がありましたらお気軽にお声掛けくださいね。
次回は舞台について、騙されて入団した笑 劇団員時代を振り返ろうと思います。
【次回は11月上旬に掲載予定】
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